Glovia myelin research institute

ミエリンの細胞質にあるMBPが、 アルツハイマー型認知症のカギを握っている

MBPは、ミエリンとオリゴデンドロサイトをつかさどっている

「ミエリン仮説」のキーポイントは、ミエリンとミエリンを作るオリゴデンドロサイトです。その二つの機能をつかさどるのが、MBP(myelin basicprotein)です。

ミエリンは、脂質の二重膜の外膜同士と内膜同士が接しています。MBPは、その内膜同士が接する細胞質に存在しています(図版⑪)。ミエリンを構成する他のタンパク質(PLP、CNPase、MAGなど)もありますが、これまでの研究から、MBPの際立った重要性が確認されています。

私たちは超老齢マウス(30ヵ月齢)や脱髄モデルマウスを作製し、脱髄と再ミエリン化の過程で、ミエリン関連分子の変化について調べました。その結果、ミエリンに異常が起こるときにはまず、ミエリン膜構成分子のMBPに変化があることを明らかにしました。また、ミエリンが形成されるとき、軸索とオリゴデンドロサイトの間のコミュニケーションが必須です。

そのコミュニケーションの主役としてMBPが関与しているうえ、その前の前駆細胞であるOPCの分化にも関与しています。

MBPがないと、OPCは分化が抑制される

MBPを完全に欠損させたマウスの報告はこれまでにありませんが、それに近い変異マウス(シバラーマウス)が存在します。シバラーマウスは、MBP遺伝子のエクソンのうち3~7までがない劣性遺伝のミュータントマウスです。

シバラーマウスはMBPが欠損しているため、ミエリンは外膜同士が接する部位のみが薄く残っているだけです。電気信号が伝わらず、生後10日目頃(動き始める頃)から、からだの細かな震えが始まります。加齢とともに運動失調となり、からだを持ち上げるなどの刺激を与えるとけいれん発作を起こし、100日ほどで死に至ります。

私たちはvitroの系でシバラーマウスのOPCの性質を調べましたが、OPCは分化が抑制されていました。また、ニューロンとの共培養の系で、ミエリン膜の不完全形成をすることも確認しています。

これらのことから、MBPはミエリンの構築はもちろんのこと、ミエリン異常が起こっているアルツハイマー型認知症のカギを握るといってよいほど重要なタンパク質であることが分かります。

脳内にアミロイドβが増加する原因も、MBPの欠損にある

APP(アミロイド前駆体タンパク質)がβ-セクレターゼとγ-セクレターゼで切り出されると毒性を持つアミロイドβが作られます。ADAMS familyに属するα-セクレターゼが最初に働くと、毒性のない可溶性sAPPαが作られます

これまでの研究で、シバラーマウス(MBPのエクソン3~7が欠損)の脳では、sAPPαをつくる回路(α-セクレターゼが働くいわゆる「非アミロイド産生経路」)が阻害されています。そのため、APPからsAPPαが発現せず、アミロイドβが作られてしまいます。

さらに、MBP欠損マウスの脳では、可溶性アミロイドβオリゴマーの発現が認められることから、MBPがAPPのプロセッシング調節に重要な役割を持つことが明らかになりました。

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