Glovia myelin research institute

ミエリンは一生涯、崩壊(脱髄)と 再生(再ミエリン化)を繰り返している

動的平衡状態を保ちながら、脱髄と再生が繰り返される

ミエリンは、軸索に巻かれたままではありません。脱髄 ( ミエリンが壊れること ) と再生を繰り返しています。

若年マウスの脳をミエリン特異抗体で染色すると、ミエリンが茶色く染まります。 一方、31ヵ月齢の超老齢マウス ( ヒトでは100歳に相当)の脳を同様に染色すると、茶色く染まるところはほとんどありません ( 図版⑨ )。これは脱髄が起きているためで、放置しておくと脱髄がこのまま進行します。

ヒトでも、赤ちゃんのときに必要なところからミエリンが作られ成人まで続きますが、30代後半から40代を過ぎる頃になると脱髄が起こると考えられます。脱髄を起こしても、普通はミエリン再生(再ミエリン化)が行われます。脱髄と再ミエリン化は、動的平衡状態 ( 合成と分解が同量 ) を保ちながら、死ぬまで繰り返されます。

ミエリン再生は、オリゴデンドロサイトにかかっている

オリゴデンドロサイトは、非常にたくさんの突起(手)を持っています。1個のオリゴデンドロサイトは、だいたい20本ほどの突起を持っています。それらを使って多くの軸索に巻きつき、ミエリン膜を作ります。

たとえば20本の軸索に巻きついていると仮定すると、1つのオリゴデンドロサイトが働かなかったり死に至る と、20本の軸索がすべてダメになります。脱髄を起こしたまま再ミエリン化が行われないと、認知症が進行します。病態を進行させないためにも、症状改善のためにも、再ミエリン化が必須です。

オリゴデンドロサイトが再ミエリン化を行うには、OPC( オリゴデンドロサイト前駆細胞 ) の分化・成熟が不可欠です。

OPC からミエリン膜を作るオリゴデンドロサイト誕生までのプロセスがうまくいくかどうか。再ミエリン化では、ここが最大のキーポイントになります。

 

 

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